目次

まず、今回の記事の結論はこんな感じです。
本記事のまとめ
- GPAは成績の事
- GPAには問題だらけ
- 他大学と比較基準が違うので就職には関係ない
- 大学内のゼミや大学院にはめっちゃ関係ある
- GPAは大事だが、GPAにとらわれすぎるのもよくない
GPAとは?
GPAとは?
GPA(Grade Point Average)の略で、各科目の成績から特定の方式によって算出された学生の成績評価値のことです。もともと米国の大学や高校などで一般的に使われており、留学の際など学力を測る指標として、日本においても成績評価指標として導入されています。

一般的なGPAの算出方法
一般的な大学のGPAの算出は以下のような5段階評価になります。
一般的な5段階評価
点数 | 評価 | GP(グレードポイント) |
---|---|---|
90 - 100点 | Aや秀 | 4.0 |
80 - 89点 | Bや優 | 3.0 |
70 - 79点 | Cや良 | 2.0 |
60 - 69点 | Dや可 | 1.0 |
59点以下 | Fや不可 | 0 |
この点数というのは、科目ごとに変わってきます。詳しくは、シラバスを確認してください。
出席点を評価基準に加えるところもあれば、テスト100%で決まる評価基準もあります。
以下のような感じで、本当にバラバラです。以下の3つのタイプは代表的な例です。
代表的な評価方法
僕の経験上ですが、一般教養のような科目は授業内評価の割合が高くいです。対して、数学や物理系の科目はテストの割合が高い感じがありました。
成績の例
例えば、出席点20%・中間テスト40%・期末テスト40%の評価方法で、以下のような結果だとします。
これを、100点満点で計算したときに70.6点になりました。すると、70-80点では、評価はCになります。
このような形で科目ごとに評価されます。
GPAは全ての科目の平均成績
GPAは先述の各科目の評価方法に従って5段階評価された全科目の平均です。
全科目の平均と言いましたが、正しくは科目数の平均ではなく、取得単位数の平均です。
単位という言葉が出てきたので、少しだけ説明します。
単位とは?
単位とは?
1単位はだいたいその科目を45時間ぐらい勉強したと認められるときに与えられるものです。単位数は各大学が授業の方法によって定めたものです。
全ての科目が1単位というわけではないです。
予習や復習が必要な科目は必然的に単位数が高くなり、スポーツのような予習や復習が必要のない科目は単位数が低いです。
例)GPAの算出方法
例えば、春学期の成績が以下のような場合について考えましょう。
科目名 | 単位数 | 評価 |
---|---|---|
スポーツパフォーマンス | 1 | A (4.0) |
線形代数Ⅰ | 2 | C (2.0) |
法学Ⅰ | 2 | C (2.0) |
経済学Ⅰ | 2 | F (0) |
理工学実験Ⅰ | 3 | B (3.0) |
この場合の平均は以下のようになります。
この2.1という値がGPAです。
科目を落としたり、再履修した場合
科目を落としたり、再履修する場合はGPAが変わってきます。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
GPAの問題点
今までの説明からGPAがどういったものかわかっていただけたと思います。
GPAと就職やゼミとの関係についてお話していく前に、GPAの問題点についてお話しておきます。
なぜGPAの問題点を先に説明するかというと、GPAの評価方法に問題があるため、就活などの学外ではGPAは関係してこないからです。
GPAの問題点とは?
GPAの問題点として一言でまとめると、標準的なGPA 評価法というものは存在しない点です。
この評価基準には様々な問題点があります。この問題点について、以下の論文を参考について解説していきます。
参考文献
綾 皓二郎,(2017),「日本の大学におけるGPA 制度の導入と運用に見出される特徴と問題点 」
綾 皓二郎,(2017),GPA(Grade Point Average)成績評価法の理念と実際~日本の大学における GPA 評価法~
評価方法がバラバラ
評価方法も大学によってバラバラです。
一般的には5段階評価ですが、そうでない大学もあります。
日本の大学の GPA 評価法は,アメリカの方式に倣ったにもかかわらず,アメリカの大学ような基本形と標準形式は認められず,対外通用性に配慮するとしながらも,大学により様々な方式で定められています。
例えば、京都工芸繊維大学では8段階GPA評価法を取っています。
また、北海道大学ではMaxが4.3の11段階評価法を取っています。
このように、大学別でGPAの評価方法がバラバラです。
難易度がバラバラ
大学ごとに難易度がバラバラ
GPAは大学ごとに難易度はバラバラです。GPAは大学内での評価なので、必然的にFラン大の方がGPAは取りやすいです。
例えば、東大とFランの大学では、同じGPAでも難易度は全然違いますよね。同じAでも、Fラン大のAを取る方が明らかに簡単です。
大学内でもバラバラ
GPAの難易度は大学別にバラバラと言いましたが、大学内でもバラバラです。
学部や学科で難易度も違います。比較的文系の方が座学が多く、出席するだけで単位がもらえるような授業もあるためGPAは高くなりやすいです。
さらに、同じ学科の同じ授業でも、担当教員によって成績が違ってくることもあります。
GPAのために取りたい科目を取らない
GPAの評価方法には科目数は関係ないです。なのでたくさんの科目を取るよりかは、少ない科目でそれぞれの点数を上げれば必然的に平均点は上がります。
これは現(2021年7月31現在)鳥取環境大学 経営学部 経営学科の齊藤 明紀教授のツイートです。
成績が優+優+優だとGPA平均が3。人より多くの科目を受講して優+優+優+良+良だとGPA2.6。つまり卒業に必要な最低限の科目しか受講せずにそれぞれの科目の点数を高くする方向に努力したらGPAは上がる。知的好奇心で必要以外の科目に手を広げるとGPAを下げる。くだらない。
— 齊藤明紀 (@a_saitoh) September 10, 2020

学ぶために大学に入学したのに、これでは本末転倒になってしまいますよね。
GPAの問題点
- 大学ごとによって評価方法が違う
- 大学ごとにGPAの取りやすさが違う
- 学部、学科ごとに難易度は違う
- 担当教員によっても難易度が違う
GPAの関係について
GPAには評価や難易度について問題があることがわかってもらえたと思います。
なので、GPAは大学外では関係することが少ないです。逆に、大学内ではGPAによって物事が大きく変わってきます。
具体的に解説していきます!
就職とGPAについて
大学生の皆さんが一番気にするのは、就職にGPAは関係あるのかという事ですよね。
結論から言うと、就職にGPAは関係ないです。
就職にGPAは関係ない理由
これは2018年12月4日~12月6日に「過去1年以内に新卒採用に携わったことがある人事担当者500人」を対象に楽天インサイト株式会社がアンケートを行った結果をもとに作成されたリクルートの記事『GPAとは?大学の「成績」を企業が求める理由をプロが解説』を参考にしています。
まとめると以下のようになります。
GPAや成績を使う理由
- 学力、人間性、業務に対する向き・不向きの一つの判断材料として
- 業務を理解する能力と関係性がある(と思っているため)
- 履修履歴を見るため(gpaは関係ない)
GPAを使わない理由
- GPAには評価方法や難易度がバラバラなため
- GPAでの評価と仕事の出来にそこまで相関関係を見いだしていないため
- webテストを評価基準にするため、GPAは関係ない
GPAを一つの指標として見ている企業もあります。
しかし、それ以上にGPAの評価基準がバラバラなため、GPAを気にする企業は少ないです。
GPAよりも、なぜその科目を取ったのか。それを学んで何がわかったのかという方が重要です。
就活では、自分の軸だったり、やりたいことなどを深く探られますよね。
それは、論理的に筋がたっているのか。という事が聞かれているからです。
なので、GPAがたとえ低くてもなぜGPAが低いのか。という説明ができればGPAについては深く考えなくてもよいです。
学校推薦の就職ではGPAは必須
学校推薦の場合はGPAは大いに関係があります。
特に理系はメーカへの推薦が多いです。なので、理系の場合は特にGPAには気を付けた方が良いかもしれません。
学校推薦での就職ではGPAが良い順に推薦がある企業に応募できます。
推薦での就職はGPAが低いと後に回されてしまうので注意しましょう。
GPAが高いとガクチカとしてアピールできる
就活にはGPAは関係ないですが、自分からアピールポイントとしてGPAが高いことを言うことができます。
就活では確実に「学生時代に力を入れたことはなんですか」略してガクチカを聞かれます。このガクチカで勉強を頑張り、その成果としてGPAが高いという事もできます。
特に、バイトリーダーやサークルの会長などの目立った活躍がない方は、勉強を頑張ってGPAで証明しましょう。
就職とGPAのまとめ
- 就職においてGPAを一つの判断材料として用いることがある
- 基本的に就職ではGPAは関係ない
- GPAよりもなぜその科目を取ったかの方が大切
- 学校推薦の就職では関係ある
- GPAをガクチカとしてアピールすることは可能
奨学金とGPAについて
結論から言うと、奨学金にGPAは関係します。
日本学生支援機構の給付型奨学金の審査の場合
大学生のほとんどは日本学生支援機構の奨学金を借りたり、もらったりします。
日本学生支援機構からお金をもらう場合は大学入学後の学業成績等に係る基準での奨学金の審査は以下のようになっています。
【入学後1年以上を経過した人】
次の1、2のいずれかに該当すること。
1:GPA(平均成績)等が在学する学部等における上位2分の1の範囲に属すること
2:修得した単位数が標準単位数以上であり、かつ、将来、社会で自立し、活躍する目標を持って学修する意欲を有していることが、学修計画書により確認できること
引用:日本学生支援機構
これは、奨学金をもらう給付型奨学金の審査なので、成績の評価が厳しいです。
給付型(返さなくてよい奨学金)なので、とても真面目なGPAが高い人しか相手にしてもらえません。
各大学が個別に行っている奨学金について
また、各大学が行っている奨学金の募集があります。私立大学だと、色々な財団などが支援しています。
この各大学で行っている奨学金の選考でもGPAは必要です。
例えば、同志社大学のスポーツ健康科学部での奨学金の選考基準にはGPAが関係しています。
奨学金種類 選考基準 同志社大学育英奨学金
(7名以内、各30万円)
- 学業分野:3年次生の学業成績優秀者(GPAの優秀者)2名、ならびに公募によるスポーツ、文化、芸術、社会活動などの業績が優秀かつ学業成績が優れる者1名
- 正課外分野:公募によるスポーツ、文化・芸術、社会活動などの業績優秀者に対して大学全体で20名以内(学部より最大4名)
奨学金の選考基準としてGPAは関係ありますが、GPAがとても優秀でないと出願できないようです。
ゼミ・研究室選考とGPAについて
ほとんどの大学のゼミや研究室配属はGPAによって決まります。
大学内での決め事(学校推薦の就職など)は基本的にGPAが関係してきます。
このゼミ・研究室選考もGPA順で決まっていきます。GPAが低いと、人気のないゼミ・研究室に配属されてしまいます。
大学院入試とGPAについて
大学院入試にとても詳しいくろまあくとさんの「escape」というサイトを引用します。
大学院の推薦入試では大きく関係していきます。
内部推薦
内部推薦とは、同じ大学の大学院に行く場合ですね。国立大学ではあまりないですが、私立大学だと大学院入試の大半がこの内部推薦になります。
内部推薦の場合はGPAが高いと試験を免除できる場合がほとんどです。
また、研究室もGPA順に選ぶことが可能です。
外部推薦
外部推薦という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、大学院や研究科、専攻によっては内部生だけでなく外部生の推薦も受け入れています。他の大学や違う専攻から受ける場合ですね。
例えば、大阪大学大学院や東京工業大学大学院では外部の推薦を受け付けています。
この外部推薦のにもGPAはとても重要です。GPAが良くないとそもそも推薦入試が受けられませんからね。
ただし、一般入試の場合はGPAはほとんど関係ないです。
面接の時に教授に突っ込まれて終わりです。
まとめ
GPAについて、GPAの問題点、GPAの活用される場面についてお分かりいただけたでしょうか。
やはり、大学ではGPAが高いに越したことはないです。GPAが高いと、物事をうまくこなせることができます。
今回の記事は『大学生の成績』講座【第1回目】です。
【第1回】GPAとは?就活やゼミ決めとの関係について←今のページ
【第2回】落単とGPA・留年の関係について
【第4回】履中について
【第5回】カンニングをしてもバレないのか?
【第6回】レポートのコピペはバレるのか?